税法上の扶養のことを配偶者控除とも表現します。本記事では、共働き家庭における産休・育休中の「配偶者控除」の利用についてご紹介します!
【登場人物】
夫:ひろ(FP3級)
妻:さや(FP3級)
扶養について
扶養とは、
「一人で生計を立てることができない家族や親族に対して経済的な援助を行うこと」
本記事でいう「扶養」とは、
社会保険(健康保険と厚生年金保険)上の扶養のことではなく、税制上の扶養のことです!
税法上の扶養とは?
税法上の扶養とは、家族を扶養している納税者本人(ひろ)の所得税・住民税が軽減されるという制度です。産休・育休などの取得による減収で、条件を満たせば税法上の扶養が利用できます!
配偶者控除について
配偶者控除とは?
それでは、産休・育休に関係する税法上の扶養である「配偶者控除」について話を進めていきます!
配偶者控除とは、収入が一定以下の配偶者(さや)が、納税者本人(ひろ)にかかる税金の所得を差し引くことができ、納税者本人(ひろ)の税金が安くなる制度です!
つまり、配偶者(さや)が会社勤めでも産休・育休によって給与収入が減れば利用できます!
配偶者控除額の条件と控除額
配偶者控除額の条件
配偶者控除を受けるには、納税者(ひろ)の配偶者(さや=被扶養者)の年収が条件となります。
配偶者(さや)の | ①合計所得金額 | ②給与収入 |
---|---|---|
A.配偶者控除 | a.48万円以下 | b.103万円以下 |
B.配偶者特別控除 | a.133万円以下 | b,201万円以下 |
A.配偶者(さや)の所得がすべて給与だけで、年間の給与が162万5,000円までであれば、給与所得控除額(c.55万円)が適用されるため、配偶者控除を受けられます。
a(48万以下)=b(103万以下)–c(55万)
B.配偶者(さや)の所得がすべて給与だけで、年間の給与が180万円超360万円以下であれば、給与所得控除額(c.収入金額×30%+8万円)が適用されます。収入金額が201万円の時、配偶者控除を受けられます。
a(133万以下)=b(201万以下)–c(201万×30%+8万)
納税者本人(ひろ)の控除額
配偶者控除を利用すると5~11万円ほどの減税となります。給与収入が450万円で配偶者控除を利用した場合、どれくらい税金が控除されるのか検証してみました!
- 給与収入450万円
- 給与所得控除額:134万円(450万円×20%+44万円)※1
- 給与所得:316万円(450万-134万)
- 所得控除:86万円(48万円(基礎控除)+38万円(配偶者控除))
- 課税所得:230万円(316万-86万)
- 所得税:23万円(230万×10%※2)
- 配偶者控除がない場合の所得税:26.8万円
よって、所得税は3.8万円安くなります。住民税は一律3.3万円安くなるので、配偶者控除を利用することで7.1万円の減税となります!
配偶者控除の受け取り方
配偶者控除を受けるには、会社員であれば、年末調整資料の「給与所得者の配偶者控除等申告書」に記載すればOKです。年末調整時の記載忘れ・個人事業主の場合は、確定申告が必要です。
注意点
株式投資で「源泉徴収なし」の特定口座を選んで利益が20万を超す方(本記事の配偶者が対象)は、確定申告をする必要があります。確定申告の際に、株式投資の利益と給与収入の合計所得金額により、配偶者(特別)控除が受けられない場合があるので注意です。
一方、「源泉徴収あり」を選んだ場合は、確定申告をする必要がないので上記の心配はありません。
源泉徴収の有無 年間の所得 | あり | なし |
---|---|---|
38万円以下 | (分離)課税 | 非課税(基礎控除内) |
38万円超 | (分離)課税 | 課税 配偶者(特別)控除× |
まとめ
産休・育休中に年収が下がった場合は、配偶者控除を利用できる可能性があるのでみなさんもチェックしてみてはいかがでしょうか?配偶者控除を利用すれば、5~11万円ほどの減税となります。
年末調整もくは確定申告はお忘れずに!