Ⅲ-31
Ⅲ-31 下水汚泥の性状と安定化と凝集を目的とした汚泥調整に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
- 濃縮工程において,水処理系から発生する汚泥の難濃縮化に伴い,初沈汚泥を機械濃縮で,余剰汚泥を重力濃縮で濃縮する,いわゆる分離濃縮方法を採用する処理場が増えてきた。
- 汚泥の混合は,性状の違う2種類以上の汚泥を均一化するために,発生固形物量比を基準に定量混合するものである。
- 汚泥洗浄は,消化汚泥を二次処理水等で洗浄して,汚泥のアルカリ度を低下させることにより凝集剤の使用最の節約等のために行う。
- 薬品添加は,汚泥中の微粒子を結合させて固液分離のしやすいフロックを生成させ,脱水性を向上させるものであり,凝集剤として有機凝集剤,及び無機凝集剤がある。
- 脱水機種としては,圧入式スクリュープレス脱水機,回転加圧脱水機,ベルトプレス脱水機及び遠心脱水機の採用がほとんどであり,有機凝集剤が広く採用されている。
1. 不適切
濃縮工程において,水処理系から発生する汚泥の難濃縮化に伴い,初沈汚泥を重力濃縮で,余剰汚泥を機械濃縮で濃縮する,いわゆる分離濃縮方法を採用する処理場が増えてきました。問題文1.は濃縮方法が逆に説明されています。
Ⅲ-32
Ⅲ-32 下水汚泥の返流水に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
- 汚泥の各処理過程で生じる濃縮分離液,消化脱離液,脱水ろ液などを総称して返流水といい,一般的には汚泥処理施設に戻して処理する。
- 個々の処理場から発生する汚泥分のみを処理する処理場では,汚泥処理から発生する返流水負荷を考慮して水処理施設を設計するため,一般的には返流水が水処理施設に悪影響を与えることは少ない。
- 他の処理場から汚泥を受け入れている場合,嫌気性消化を行っている場合等では,返流水のBOD, SS, COD,窒素及びりん負荷量が高くなるので,返流負荷を減少させる方法として,返流水の単独処理を行うことがある。
- 生物学的りん除去法による高度処理を行っている場合,返流水へのりんの再放出を防止するため,水処理系外に引抜かれた高濃度のりんを含有する余剰汚泥を好気的状態のまま処理するシステムが望ましい。
- 最近は返流水からのりん除去法として,MgCl2を添加し,りん酸マグネシウムアンモニウムの顆粒としてりんを取り出すMAP法が一部の都市で行われている。
1. 不適切
返流水は一般的には水処理施設に戻して処理されます。
Ⅲ-33
Ⅲ-33 下水道おける水質試験項目に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。
- BODは,水中に含まれる有機物質が,溶存酸素が十分存在し20℃で3日間という条件下で,嫌気性微生物の働きによって分解されるときに消費される酸素量をmg/Lで表している。
- pHは,水中の水素イオン濃度の逆数の常用対数で表される。流入下水は,多くの場合,中性又は微アルカリ性で安定している。反応タンク内で硝化反応が進行した場合,pH値が6.0前後まで低下することがある。
- SSは,流入下水,処理水等を一定規格のろ紙(孔径lµm)でろ過したとき,ろ紙を通過する物質のことをいい,水中に懸濁する物質を意味する。
- 大腸菌群は,グラム陽性の短梓菌で,乳糖を分解して,アルカリとガスを発生する通性嫌気性の細菌群をいう。
- アルカリ度は,水中又は汚泥中に含まれる炭酸塩,炭酸水素塩又は水酸化物などのアルカリ分を,これに対応する炭酸カルシウム(CaC03)のmg/Lで表したもので,硝化反応により生成され,脱窒反応により消費される。
2. 適切
BODとは生物学的酸素要求量といい水中に含まれる有機物質が,溶存酸素が十分存在し20℃で5日間という条件下で,嫌気性微生物の働きによって分解されるときに消費される酸素量をmg/Lで表しています。→水の汚れの度合いを表します。
SSは,流入下水,処理水等を一定規格のろ紙(孔径lµm)でろ過したとき,ろ紙の上に残留する物質のことです。
大腸菌群は,グラム陽性の短梓菌で,乳糖を分解して,酸とガスを発生する通性嫌気性の細菌群をいいいます。
アルカリ度は,水中又は汚泥中に含まれる炭酸塩,炭酸水素塩又は水酸化物などのアルカリ分を,これに対応する炭酸カルシウム(CaC03)のmg/Lで表したもので,硝化反応により消費され,脱窒反応により生成される。
Ⅲ-34
Ⅲ-34 事業場排水が下水道に与える影響に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
- 高温排水が下水管きょに流入すると化学反応や生物的反応が促進され,コンクリート等の腐食及び悪臭ガスの発生の原因となる。
- 酸性排水は,下水道施設を損傷させ,また他の排水と混合すると有害ガスを発生する場合がある。
- 油類(ノルマルヘキサン抽出物質)は,下水管内部に付着し管きょを閉塞する。また,処理場の活性汚泥の呼吸が阻害され,処理機能が低下する。
- 農薬は,処理場の活性汚泥中の細菌類や原生動物に対して毒性を示し,処理機能を阻害する。
- トリクロロエチレン等は,下水道施設内で揮散し,管きょ内や処理場での作業環境を悪化させる。また,活性汚泥による有機物除去機能に重大な影響を及ぼす。
5. 不適切
トリクロロエチレン等は、水道施設内で揮散し、管きょ内や処理場での作業環境を悪化させ、活性汚泥による硝化機能にも影響を及しますが、活性汚泥による有機物除去機能への影響はほとんど認められていません。
Ⅲ-35
Ⅲ-35 下水道施設における腐食対策に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。
- 最初沈殿池や汚泥濃縮タンクなど硫化水素の発生しやすい施設では,放散した硫化水素により硫酸が生成されてコンクリート表面が菌食しやすい。このような施骰では臭気や腐食を抑制するために施設を覆蓋し,施設の換気は行わないことが望ましい。
- 硫化水素の発生しやすい場所におけるコンクリート構造物については,フライアッシュセメントや高炉セメントなどを用いることにより耐久性が向上する。
- 塩分濃度の高い上壌にステンレス管等を埋設する場合は,腐食が発生しやすいため,管外面に防食テープを巻くなどの注意が必要である。
- 腐食性土壌や不均ーな士質に配管する場合は金属腐食が発生しやすいため,ポリエチレン系など絶縁抵抗の高い被覆材料等で防食対策を行う必要がある。
- 二酸化炭素によるコンクリートの中性化はエアレーションを行う反応タンクなどで特徴的に見られる。中性化は,コンクリート表面より進行し,コンクリート内の鉄筋を腐食させる。
1. 不適切
施設の換気により、内面を乾燥と硫化水素を希釈することで腐食を抑制します。